よるのこうず |
| 夜の構図 |
冒頭文
第一章 ホテルを出ると雨が降っていた事。三五二号室の女の代りに四二一号室の女に外科手術をする事。 並んで第一ホテルを出ると雨であった。鋪道の濡れ方で、もう一時間も前から降っていたと判った。少しの雨なら直ぐ乾き切ってしまう真夏の午後なのだ。 一時間も前から降っていたということがいきなり信吉を憂愁の感覚で捉えてしまった。しかし、この寂しさは一体何であろう……。 雨が降るということには、何の意
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号
底本
- 定本織田作之助全集 第六巻
- 文泉堂出版
- 1976(昭和51)年4月25日