きのまつり   |  
| 木の祭り | 
冒頭文
木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思いました。木はめったに人のとおらない緑の野原のまんなかにぽつんと立っていたのであります。 やわらかな風が木のすぐそばをとおって流れていきました。その風に木の花のにおいがふんわりのっていきました。においは小川をわ
文字遣い
 新字新仮名 
 初出
 「幼稚園と家庭 毎日のお話」育英書院、1936(昭和11)年11月15日 
 底本
- ごんぎつね 新美南吉童話作品集1
 - てのり文庫、大日本図書
 - 1988(昭和63)年7月8日