あおいポアン   |  
| 青いポアン | 
冒頭文
第一部 明子は学校でポアンといふ綽名(あだな)で通つてゐた。ポアンは点だ、また刺痛だ。同時にそれが、ポアント(尖(さき)、鋭い尖)も含めて表はしてゐることが学校仲間に黙契されてゐた。特に彼女の場合、それは青いポアンであつた。 明子はポアンといふ名に自分の姿が彫り込まれてゐるのに同感した。のみならず、この綽名を発見した或る上級生に畏怖(いふ)に似た感情を抱かずには居られなかつた。同時
文字遣い
 新字旧仮名 
 初出
 「作品」1930(昭和5)年12月 
 底本
- 日本幻想文学集成19 神西清
 - 国書刊行会
 - 1993(平成5)年5月20日