「しじま」から「こととい」へ |
「しゞま」から「ことゝひ」へ |
冒頭文
われ〳〵の国の宗教の歴史を辿つて、溯(ノボ)りつめた極点は、物言はぬ神の時代である。さうした神の口がほぐれかけて、こゝに信仰上の様式は整ひはじめた。歴史も、文学も、其萌しは此時以後に現れたのである。発生期に於ける日本文学を論じる私の企ても、「神語(カミゴト)」のはじまつた時を発足点としなければならぬ。 神語を以て、なぜ文学の芽生えと見るか。口頭の文章が、一回きりにとほり過ぎる運命から、ある期間の
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 折口信夫全集 4
- 中央公論社
- 1995(平成7)年5月10日