ローマじろんしゃへのしつぎ
ローマ字論者への質疑

冒頭文

日本語の健全な發育と、その國語の純粹性を害毒するものは、實に生硬な漢語と漢字、特に明治以來濫造される飜譯漢語と漢字である。言葉に一番大切な條件は、耳で聽いて意味がわかるといふことである。耳で聽いて意味がわからず、文字に書いて見せた上で、初めて視覺から語意が通ずるといふやうな言葉を、日常語の會話に使用するやうな國民があるとしたら、世界で最も不便で最惡の國語を所有する民族と言はねばならぬ。支那人の如き

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第十一卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年8月25日