はやりうた
流行唄

冒頭文

1 「流行唄というのは一体どういうものでしょう。」——ギンザ或春の夜、剽軽な雑誌記者が私にそんなことを聞いた。 難問である。一口にそれに答える事はむずかしい。それに答えるにはギンザを四丁目からシンバシまでくらい歩かなければならない。ただ流行唄はどんなものでないかという事なら、私には五歩行く間に明瞭に答えられる。——流行唄はラジオの国民歌謡のようなものではない。 流行唄には気分と感

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 音楽と生活 兼常清佐随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1992(平成4)年9月16日