おんがくかいのめいしん
音楽界の迷信

冒頭文

1 迷信 音楽の世界は暗黒世界である。いろいろな迷信が縦横にのさばり歩いている。 私はピアノを例に取る。私は楽器のうちで一番ピアノを愛する。私のこの愛するピアノを今しばらく例に取って見る。 批評家はほとんど例外なしに言う。——パデレウスキーやコルトーのような大家の弾くピアノの音は非常に美しい。彼らのタッチは実に巧妙である。この美しい音は全く彼らのタッチから来たものである。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 音楽と生活 兼常清佐随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1992(平成4)年9月16日