ひとつのひ
ひとつの火

冒頭文

わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。 わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。 ある晩(ばん)のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。 「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」 と、うしかいがわたしにいいました。 わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ごんぎつね 新美南吉童話作品集1
  • てのり文庫、大日本図書
  • 1988(昭和63)年7月8日