「みの」のし
「みの」の死

冒頭文

気狂ひの様になつて帰つて来たゑみやから、「みのが轢かれた」ときいて、私が飛び出して行つたとき、みのは黄バスのガレーヂの傍に倒れて、かなしい遠吠えをしてゐた。 「みの! みの!」私は人前もかまはず、さう呼んで、冷いコンクリートに膝を突いてしまつた。 「みの! どうしたの〳〵」 美濃は私の声をきくと遠吠えをやめて、チラと私を見上げ、眼を細くして満足の表情を示したが、もう尻尾はふれなかつた

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • みの 美しいものになら
  • 四季社
  • 1954(昭和29)年3月30日