ここうとうえい びわこめぐり
湖光島影 琵琶湖めぐり

冒頭文

比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりやくじ)の、今、私の坐つてゐる宿院の二階の座敷の東の窓の机に凭(よ)つて遠く眼を放つてゐると、老杉蓊鬱(おううつ)たる尾峰の彼方に琵琶湖の水が古鏡の表の如く、五月雨霽(ば)れの日を受けて白く光つてゐる。湖心の方へ往復する汽船が煙を吐いて靜かに滑つてゆくのも見える。帆船が動いてゐるのも見える。そのあたりは山の上から眺めても湖水が最も狹められてゐる處で、向ふ側から長く

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 現代日本紀行文学全集 西日本編
  • ほるぷ出版
  • 1976(昭和51)年8月1日