はしのうえ
橋の上

冒頭文

一 「渡れ圭太!」 「早く渡るんだ、臆病奴!」 K川に架けられた長い橋——半ば朽ちてぐらぐらするその欄干を、圭太は渡らせられようとしていた。—— 橋は百メートルは優にあった。荷馬車やトラックや、乗合自動車などの往来のはげしいために、ところどころ穴さえ開き、洪水でもやって来れば、ひとたまりもなく流失しそうだった。 学校通いの腕白どもは、しかしかえってそれを面白がった。張

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 犬田卯短編集 一
  • 筑波書林
  • 1982(昭和57)年2月15日