こうぶち
荒蕪地

冒頭文

一 「……アレは、つまり、言ってみれば、コウいうわけあいがあるンで……」 戦地から来た忰の手紙に、思いきって、いままで忰へ話さずにいたことを余儀なく書き送ろうと、こたつ櫓の上に板片を載せ、忰が使い残して行った便箋に鉛筆ではじめたが、儀作は最初の意気込みにも拘らず、いよいよ本筋へかかろうとするところで、はたと行詰ってしまった。……あれをどんな風に説明したら、うまく、納得がゆくものであろうか。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 犬田卯短編集二
  • 筑波書林
  • 1982(昭和57)年2月15日