おうごんきかい
黄金機会

冒頭文

上 私は二十(はたち)になつた今日までの生涯(しやうがい)にこれぞといつて人さまにお話し申す大事件もなく、父母の膝下(しつか)に穏やかな年月を送つて参り升(まし)たが、併(しか)し子供心に刻みつけられて一生忘れられまいと思ふことが二ツ三ツ有り升(ます)。其中(そのうち)十一才の誕生日に有つた事抦をお話し致しませう。私は子供の中(うち)から日課の本より戯作(げさく)もの実録ものなど読むが好(す

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女学雑誌 通巻三四二号、三四四号、三四五号、三四八号」女学雑誌社、1893(明治26)年4月29日、5月13日、5月27日、7月28日

底本

  • 日本児童文学大系 第二巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日