ディカーニカきんごうやわ ぜんぺん 06 ふんしつしたこくしょ
ディカーニカ近郷夜話 前篇 06 紛失した国書

冒頭文

ぢやあ、もつとわしの祖父の話を聴かせろと仰つしやるんで?——よろしいとも、お伽になることなら、なんの、否むどころではありませんよ。ああ、何ごとも昔のこと、昔のこと! 遠い遠い、年代や月日のほども聢とはわかりかねる大昔にこの世にあつた話を聴く時の、嬉しさ娯しさといつたら! ましてやそれが、祖父とか曾祖父といつた自分の身内の者の登場してくる話ででもあらうものなら、それこそ——自分が曾祖父の魂のなかへ潜

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ディカーニカ近郷夜話 前篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1937(昭和12)年7月30日