ディカーニカきんごうやわ ぜんぺん 05 ごがつのよる(またはすいしおんな)
ディカーニカ近郷夜話 前篇 05 五月の夜(または水死女)

冒頭文

とんとどうも分らない! 堅気な基督教徒が何かを手に入れようとして、まるで猟犬が兎を追つかけるやうに、あくせくとして骨を折つても、どうしても旨くゆかないやうな場合に、そこへ悪魔めが荷担して、奴がちよつと尻尾を一つ振らうものなら、もうちやんと天からでも降つてわいたやうに、ひよつこり望みの品が現はれてゐるのだ。 一 ハンナ 高らかな歌声が×××村の往還を川水のやうに流れてゐる。それは

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ディカーニカ近郷夜話 前篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1937(昭和12)年7月30日