ディカーニカきんごうやわ ぜんぺん 04 イワン・クパーラのぜんや
ディカーニカ近郷夜話 前篇 04 イワン・クパーラの前夜

冒頭文

フォマ・グリゴーリエヸッチには一種奇妙な癖があつた。あの人はおなじ話を二度と繰りかへすのが死ぬほど嫌ひだつた。どんなことでも、もう一度はなして貰ひたいなどと言はうものなら、きまつて、何か新事実をつけ足すか、でなければ、まるで似ても似つかぬものに作りかへてしまふのが、いつもの伝(でん)であつた。ある時のこと、一人の紳士が、——とはいへ、われわれ凡俗にはああした人たちをいつたいどういつて呼ぶべきかが既

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ディカーニカ近郷夜話 前篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1937(昭和12)年7月30日