ディカーニカきんごうやわ ぜんぺん 03 ソロチンツイのヤールマルカ |
ディカーニカ近郷夜話 前篇 03 ソロチンツイの定期市 |
冒頭文
家のなかにゐるのは退屈だ。 ああ、誰か外へつれだしてお呉れ 娘つ子があそび戯れ 若い衆がうろつきまはる 賑かな賑かなところへと! ——古伝説より—— 一 小露西亜の夏の日の夢心地と、その絢爛(きらびやか)さ! 鳩羽いろをした果しない蒼空が、エロチックな穹窿となつて大地の上に身をかがめ、眼に見えぬ腕に佳人を抱きしめながら、うつつをぬかしてまどろむかとも思はれる、静け
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- ディカーニカ近郷夜話 前篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 1937(昭和12)年7月30日