じゅうえもんのさいご
重右衛門の最後

冒頭文

一 五六人集つたある席上で、何(ど)ういふ拍子か、ふと、魯西亜(ロシヤ)の小説家イ、エス、ツルゲネーフの作品に話が移つて、ルウヂンの末路や、バザロフの性格などに、いろ〳〵興味の多い批評が出た事があつたが、其時なにがしといふ男が急に席を進めて、「ツルゲネーフで思ひ出したが、僕は一度猟夫手記(れふふしゆき)の中にでもありさうな人物に田舎(ゐなか)で邂逅(でつくは)して、非常に心を動かした事があつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩現代文学大系 6 国木田独歩 田山花袋集
  • 筑摩書房
  • 1978(昭和53)年11月25日