むかしのもうじんとがいこくのもうじん
昔の盲人と外国の盲人

冒頭文

昔は盲人に特別の位を与えたものである。よく何市、何市とあるが、あれも市名(いちな)といって、盲人の位の一つで、一番下である。しかし何といっても一番よいのは撿挍であって、昔は撿挍になるには千両の金を納めなければならなかった。その代り十万石の大名に相当する資格が与えられていた。その次は勾当で、これは撿挍の半分位の資格であった。 昔春先きに小大名が京都に上ると、撿挍の性の悪いのが、丁度蜘蛛が網を張

文字遣い

新字新仮名

初出

「雨の念仏」1935(昭和10)年2月18日

底本

  • 心の調べ
  • 河出書房新社
  • 2006(平成18)年8月30日