ごじゅうねんをかえりみて
五十年をかえりみて

冒頭文

この度の音楽生活五十年記念演奏会に際し、皆様に御支援を戴いたことを心から感謝いたします。 私は九歳の年の六月一日に箏を習い始めてから、今年が還暦祝などというと、自分でじじくさく感じて心細くもある。しかしこの年を機会に若返っていよいよ勉強したいと思うので、こんどの演奏会を催したのである。 五十年といえば大変長いようであるが、自分ではもう五十年過ぎたのかなと思う位である。私は箏を中

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮城會々報」1954(昭和29)年7月

底本

  • 心の調べ
  • 河出書房新社
  • 2006(平成18)年8月30日