こえとしょくもつ
声と食物

冒頭文

私の経験から歌についていうと、言葉と節とが調和する時と、しない時とがある。従って、外国の歌を日本語に訳した際に、訳され方によって、音と言葉とがあっていないような気がする。殊にオペラなどにおいて、そうした点に無理なところがあるのを感じるのである。そこへ行くと、長年聞き馴れた邦楽は言葉と節とがよくそぐうているような気がする。その最もよい例は義太夫であるが、ただ、現代の言葉と違うために、今の若い人にはそ

文字遣い

新字新仮名

初出

「垣隣り」1937(昭和12)年11月20日

底本

  • 心の調べ
  • 河出書房新社
  • 2006(平成18)年8月30日