ばきんのしょうせつとそのとうじのじっしゃかい
馬琴の小説とその当時の実社会

冒頭文

皆さん。浅学不才な私如き者が、皆さんから一場の講演をせよとの御求めを受けましたのは、実に私の光栄とするところでござります。しかし私は至って無器用な者でありまして、有益でもあり、かつ興味もあるというような、気のきいた事を提出致しまして、そして皆さんの思召(おぼしめし)に酬(むく)いる、というような巧なる事はうまく出来ませぬので、已むを得ず自分の方の圃(はたけ)のものをば、取り繕(つくろ)いもしません

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 南総里見八犬伝 (十)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1990(平成2)年7月16日