しっちゅう
疾中

冒頭文

病床 たけにぐさに 風が吹いてゐるといふことである たけにぐさの群落にも 風が吹いてゐるといふことである  眼にて云ふ だめでせう とまりませんな がぶがぶ湧いてゐるですからな ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから そこらは青くしんしんとして どうも間もなく死にさうです けれどもなんといゝ風でせう もう清明が近いので あんなに青ぞらからもりあがって湧

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 宮沢賢治全集2
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1986(昭和61)年4月24日