こぢえにとらわれたげんだいのほうりつがく
小知恵にとらわれた現代の法律学

冒頭文

概念的に美しく組み立てられた法律学がだんだんと世間離れしてゆくことは悲しむべき事実である。そうしてそれは従来の法律学がその対象たる「人間」を深く研究せずして単純にそれを仮定したことに由来するのである。その意味において私は現在の法律学を改造する第一歩として一種のロマンチシズム運動が必要だと考えるのである。この文章は元来「法律学における新浪漫主義」と題して大正一〇年の春、中央法律新報社主催の通俗講演会

文字遣い

新字新仮名

初出

「嘘の効用」改造社、1923(大正12)年7月3日

底本

  • 役人学三則
  • 岩波現代文庫、岩波書店
  • 2000(平成12)年2月16日