『りょうさいしい』より
『聊斎志異』より

冒頭文

香玉 労山の下清宮といふは名だゝる仙境なり。ここに耐冬あり、その高さ二丈、大さ数十囲。牡丹あり、その高さ丈余。花さくときぞ美はしう璨(きらゝ)かなるや。 そが中に舎(しや)を築きて居れるは膠州の黄生とて、終日(ひねもす)書(ふみ)読みくらしたる。ある日のことなりき。ふと牕(まど)より見おこせたるに、やゝ程とほくへだてて女人(をみな)ひとり、着けたる衣(きぬ)白う花のひまに照り映

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新古文林 第一号第一号」1905(明治38)年5月、「新古文林 第一巻第五号」1905(明治38)年8月

底本

  • 蒲原有明論考
  • 明治書院
  • 1965(昭和40)年3月5日