おやごころ |
| 親ごころ |
冒頭文
一条の街道がこれから村へかかろうとするあたりに、這い込むような小さな家が一軒、道のほとりにたっていた。彼はむかしその家に住んでいた。土地の百姓のむすめを妻に迎えると、この男は車大工を稼業にして暮しをたてていた。夫婦そろってなかなかの稼ぎ屋だったので、世帯をもってしばらくたった頃には、どうやら小金(こがね)もできた。ただ、夫婦のなかには、どうしたことか、子宝がなかった。二人にとっては、それが深いなげ
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- モオパツサン短篇集 初雪 他九篇
- 改造文庫、改造社出版
- 1937(昭和12)年10月15日