ろんりとちょっかん
論理と直観

冒頭文

我々が物に行くのは直觀によつてである。これは如何なる物であらうとさうである。ただ物に行くといふのみではない、直觀によつて我々は物の中に入り、物と一つになるとさへいはれるであらう。故に知識といふものが元來何等かの物の知識である限り、如何なる知識も直觀に依るところがなければならぬ。直觀のない思惟は、如何に形式を整へるにしても、空轉するのほかない。直觀を嫌惡する論理主義者は、物を嫌惡するものといはれるで

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「知性 三月号」河出書房、1941(昭和16)年3月

底本

  • 三木清全集 第四巻
  • 岩波書店
  • 1967(昭和42)年1月17日