セロひきのゴーシュ
セロ弾きのゴーシュ

冒頭文

ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。 ひるすぎみんなは楽屋に円くならんで今度の町の音楽会へ出す第六交響曲(こうきょうきょく)の練習をしていました。 トランペットは一生けん命歌っています。 ヴァイオリンも二い

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編 銀河鉄道の夜
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年6月15日