とんまのろくべえ
とんまの六兵衛

冒頭文

昔、ある村に重吉(じゅうきち)と六兵衛(ろくべえ)という二人の少年が住んでいました。二人は子供(こども)の時分から大の仲(なか)よしで、今まで一度だって喧嘩(けんか)をしたこともなく口論(こうろん)したことさえありませんでした。しかし奇妙(きみょう)なことには、重吉は目から鼻へ抜(ぬ)けるほどの利口者(りこうもの)でしたが、六兵衛は反対(はんたい)に何をやらせても、のろまで馬鹿(ばか)でした。また

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

底本

  • あたまでっかち――下村千秋童話選集――
  • 茨城県稲敷郡阿見町教育委員会
  • 1997(平成9)年1月31日