おにたいじ
鬼退治

冒頭文

一 頭は少々馬鹿(ばか)でも、腕(うで)っぷしさえ強ければ人の頭に立っていばっていられるような昔の時代であった。常陸(ひたち)の八溝山(やみぞさん)という高い山の麓(ふもと)の村に勘太郎(かんたろう)という男がいた。今年十八歳(さい)であったが、頭が非常(ひじょう)によくって、寺子屋(てらこや)で教わる読み書きそろばんはいつも一番であった。何を考えても何をしても人よりずばぬけていた。しか

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

底本

  • あたまでっかち――下村千秋童話選集――
  • 茨城県稲敷郡阿見町教育委員会
  • 1997(平成9)年1月31日