つくばねのほとり
筑波ねのほとり

冒頭文

一 「雲雀の卵を拾(ひ)らえに行(い)んべや」 「うん」 「葦剖(よしきり)も巣(す)う懸けたつぺな」 「うん」 眞ん中に皿を殘(のこ)したかつぱ頭を、柔かな春風になぶられながら、私達は土手(どて)を東へ、小貝川の野地を駈け下りた。櫟(くぬぎ)は古い葉をすつかり振り落して新芽から延びた緑の葉が頬(ほゝ)にうつつてほてるやうである。 毛蟲がぶらんこしてゐる。帽子(ばうし)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 太陽 三二巻八号
  • 博文館
  • 1936(大正15)年6月