こだいけんきゅう おいがき
古代研究 追ひ書き

冒頭文

この書物、第一巻の校正が、やがてあがる今になつて、ぽっくりと、大阪の長兄が、亡くなつて行つた。さうして今晩は、その通夜である。私は、かん〳〵とあかるい、而もしめやかな座敷をはづして、ひっそりと、此後づけの文を綴つてゐるのである。夜行汽車の疲れをやすめさせようと言ふ、肝いり衆の心切を無にせまい為、この二階へあがつて来たのであつた。 かうして、死んで了うた後になつて考へると、兄の生涯は、あんまりあぢ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年4月10日