こどくのことなど
孤独のことなど

冒頭文

——美しいものは一番危つかしい。一番こはれやすい。その上一番終末的でさへあります。だから美しいゆゑに切ないものは、一番毅然とせねばならない。一歩どちらかへぐらつけばそれは忽ち甘くなるか、又は感傷になる——これは保田與重郎氏が川端康成氏の芸術を評した時の言葉であるが、私はこの一文を読んだ時、ああと溜息をつき、このやうに美しいものがこの世の世界にあるのかと、頭をあげ瞳を輝かせたのであつた。けれど、それ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 定本 北條民雄全集 下巻
  • 東京創元社
  • 1980(昭和55)年12月20日