あいこくかしょうかん
愛国歌小観

冒頭文

今日は愛國歌について一言を徴せられたが、大東亞戰爭の勃發して以來、國民が奮つて愛國歌を讀み、朗誦し、萬葉集に載つた、『海ゆかば水漬く屍山ゆかば草むす屍大皇(おほきみ)の邊にこそ死なめ顧みは爲じ』や、『けふよりは顧みなくて大君の醜の御楯といでたつわれは』の如きは、全く人口に膾炙せられるに至つた。また、私の先輩友人等から、雜誌により、著書により、ラジオ放送によつて、愛國歌がつぎつぎに發表せられたから、

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「日本評論」1942(昭和17)年5月号

底本

  • 齋藤茂吉全集 第十四卷
  • 岩波書店
  • 1975(昭和50)年7月18日