おとのせかい
音の世界

冒頭文

女男甲男乙其の他 舞台は、連絡なき三つの場所を同時に示し得るやう、その空間を利用して、それぞれ独立した装置を施す。三つの情景は、大体次の如き関係に配置されてゐればよい。 Aは、ホテルのアパルトマンに属する贅沢なサロン。Bは、別のホテルの一人用寝台附小室。Cは、ある商店の電話室。[#A、B、Cの図省略] 時刻は午後九時。Aの部屋では、男甲がソフアに倚つて夕刊を読んでゐる。その妻らしき女が、隣

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸春秋 第九年第十号」1931(昭和6)年10月1日

底本

  • 岸田國士全集5
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年1月9日