あさまやま
浅間山

冒頭文

浅間山の麓 萱の密生した広漠たる原野の中に、白樺、落葉松などの疎林が点在し、土地を区劃するための道路が、焼石の地肌をみせて縦横に延びてゐる。 緩やかな斜面に沿つて、粗末な小舎(カツテージ)が一棟。斜面の尽きるあたりに、水量の乏しい渓流。温泉鑿掘のための櫓(やぐら)が、その岸に立つてゐる。 この物語の中に現れる人物 丹羽州太 同 二葉   その娘

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第十三巻第七号」1931(昭和6)年7月1日

底本

  • 岸田國士全集5
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年1月9日