ばくまついしんかいこだん 56 とりのせいさくをひきうけたはなし
幕末維新懐古談 56 鶏の製作を引き受けたはなし

冒頭文

狆の製作が終ってから暫くしてふと鶏(とり)を彫ることになりました。 その頃京橋南鍋町(みなみなべちょう)に若井兼三郎俗に近兼(きんかね)という道具商があった。この人は同業仲間でも好(い)い顔で、高等品を取り扱い、道具商とはいいながら、一種の見識を備えた人であった。またその頃、築地に起立工商会社という美術貿易の商会があって、これは政府の補助を受けなかなか旺(さか)んにやっておった。社長は松

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日