おうがいのおもいで
鴎外の思い出

冒頭文

序にかえて あやしくも重ねけるかなわがよはひ    八十四歳一瞬にして これは今年の正月の私の誕生日に、子供たちが集った時に口ずさんだのです。 いつか思いの外に長命して、両親、兄弟、主人にも後れ、あたりに誰もいなくなったのは寂しいことですが、幸いに子供だけは四人とも無事でいますのを何よりと思っています。近親中で長生したのは主人の八十七、祖母の八十八でした。祖母は晩年

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鴎外の思い出
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1999(平成11)年11月16日