しゅんしょういんねんだん
春宵因縁談

冒頭文

はなしのはじめは三木武吉と頼母木桂吉の心臓の出来あんばいから語りだすことにしよう。 このほど、頼母木東京市長が急逝した。私としては、この人の死をきいて別段深く感慨にうたれたというわけではないが、ただ頼母木が持っていた心臓の強弱については、二、三の思い出があるのである。頼母木の心臓は、強(し)いて形容するよりも、しぶとい心臓と言った方が当たっているかも知れない。 彼は備後国府中の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 完本 たぬき汁
  • つり人ノベルズ、つり人社
  • 1993(平成5)年2月10日