つったさかなのあじ
釣った魚の味

冒頭文

釣りは、主人が釣りそのものを楽しむということと共に、獲物の味を家族に満喫させるところに一層の興味がある。 ところが、獲物を釣り場に棄ててきたり、無意味に人に呉れたりする釣り人を見受けるのは甚だ心得ない。 つまり、これは主婦が獲物を喜ばない影響であるかも知れないのである。世の中には魚屋が持ってくる魚であれば、それが活きの悪いものであっても喜んで食べるのに、主人が釣ってきた魚である

文字遣い

新字新仮名

初出

「つり姿」鶴書房、1942(昭和17)年

底本

  • 垢石釣り随筆
  • つり人ノベルズ、つり人社
  • 1992(平成4)年9月10日