たいつりしろうとばなし |
鯛釣り素人咄 |
冒頭文
職業漁師でも遊釣人でも、鯛といえば、真鯛(まだい)を指すのが常識である。真鯛に色、形ともによく似ているのに血(ち)鯛と黄鯛とがある。これは、真鯛に比べると気品も味も劣り、釣りの興趣も真鯛ほどではない。 真鯛の当歳子、つまり出来鯛の四、五十匁くらいまでのものをベン鯛と呼び、六、七十匁から二百匁くらいの二歳、三歳のをカスゴ鯛と称しているが、三百匁から四、五百匁のものを中鯛、五、六百匁から二貫
文字遣い
新字新仮名
初出
「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年
底本
- 垢石釣り随筆
- つり人ノベルズ、つり人社
- 1992(平成4)年9月10日