十五、六歳になってからは、しばらく釣りから遠ざかった。学校の方が忙しかったからである。 二十歳前後になって、またはじめた。 母と共に、二年続けて夏を相州小田原在、松林のこんもりとした酒匂村の海岸に過ごしたことがある。炎天を、毎日海辺の川尻の黒鯛(くろだい)釣りやはや釣りに専念して、第一年の夏は終わったのであったが、第二年は六月のはじめから鮎釣りをやってみた。 五月下旬