いるかとふぐ
海豚と河豚

冒頭文

一 鯨と名のつくものなら、大抵(たいてい)は食べたことがある。『大井川のくじらは、婦人にしてその味を知るなり』と、言うことからそれは別として山鯨、なめくじら、海豚(いるか)に至るまで、その漿(しょう)を舌端に載せてみた。 ところで、山鯨のすき焼き、なめくじらの照り焼きなどは大そうおいしいけれど、海豚の肉はどうも感服しかねる。晒し鯨の酢味噌にしたところが、肉そのものには何の味もなく、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 完本 たぬき汁
  • つり人ノベルズ、つり人社
  • 1993(平成5)年2月10日