『しちめんちょう』と『わすれふんどし』
『七面鳥』と『忘れ褌』

冒頭文

一『斉正、その方は七面鳥を持っているか』 鍋島斉正が登城したとき、将軍家定がだしぬけにこんな質問を発したから斉正は面喰らった。 『……』『持っているじゃろう、一羽くれ』『不用意にござります。わたくし生来活(い)き物を好みませぬので——』『はて、心得ぬ』『何か、お慰みのご用にでも遊ばされまするか』『そんなこと、どうでもええ』 家定は、生まれつき聡明の方ではなかった。水戸斉昭から越前慶永へ送った手紙

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 完本 たぬき汁
  • つり人ノベルズ、つり人社
  • 1993(平成5)年2月10日