ばくまついしんかいこだん 54 よきちんのモデルをえたはなし
幕末維新懐古談 54 好き狆のモデルを得たはなし

冒頭文

合田氏のはなしを聞けば、なるほど耳寄りな話である。 合田氏は、私の今使っているモデルの狆を口ではそれと悪くはいわないが、この狆よりも数等上手(うわて)の狆がいることを話された。それはツイ先月の話のことだが、合田氏の知人に、徳川家の御側(おそば)御用を勤められた戸川という方があって、その御隠居が可愛がった一匹の狆があった。それはなかなかの名狆であるのだが、戸川家も世が世で微禄され、御隠居も

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日