さとのはる、やまのはる
里の春、山の春

冒頭文

野原にはもう春がきていました。 桜(さくら)がさき、小鳥はないておりました。 けれども、山にはまだ春はきていませんでした。 山のいただきには、雪も白くのこっていました。 山のおくには、おやこの鹿(しか)がすんでいました。 坊(ぼう)やの鹿(しか)は、生まれてまだ一年にならないので、春とはどんなものか知りませんでした。 「お父ちゃん、春ってどん

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ごんぎつね 新美南吉童話作品集1
  • てのり文庫、大日本図書
  • 1988(昭和63)年7月8日