とびはぜ
飛沙魚

冒頭文

この頃は、一盃のむと途方もなく高値な代金を請求されるので、私ら呑ん平にはまことに受難時代である。そのために月に一回、せいぜい二回も縄暖簾(のれん)を、くぐることができれば幸福の方であるが、五十年来のみ続けてきた私が、月に一回や二回のんだのでは、夜ねむれないで困りはしないかと心配した。 しかし、ありがたいことに、のめないでも眠ることについては心配不要であった。眠り過ぎて困る。夕方、めしが済

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 『たぬき汁』以後
  • つり人ノベルズ、つり人社
  • 1993(平成5)年8月20日