ちえこしょう
智恵子抄

冒頭文

人に いやなんです あなたのいつてしまふのが—— 花よりさきに実のなるやうな 種子(たね)よりさきに芽の出るやうな 夏から春のすぐ来るやうな そんな理窟に合はない不自然を どうかしないでゐて下さい 型のやうな旦那さまと まるい字をかくそのあなたと かう考へてさへなぜか私は泣かれます 小鳥のやうに臆病で 大風のやうにわがままな あなたがお嫁にゆくなんて いやなんです

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 智恵子抄
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1956(昭和31)年7月15日、1967(昭和42)年12月15日43刷改版