やぶのうぐいす
藪の鶯

冒頭文

第一回 男「アハハハハ。このツー、レデースは。パアトナアばかりお好きで僕なんぞとおどっては。夜会に来たようなお心持が遊ばさぬというのだから。 甲女「うそ。うそばかり。そうじゃござりませんけれども。あなたとおどるとやたらにお引っ張り回し遊ばすものですから……あの目がまわるようでござりますんで。そのおことわりを申し上げたのですワ。 男「まだワルツがきまりませんなら願いましょうか。 ときれいにか

文字遣い

新字新仮名

初出

「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月

底本

  • 日本の文学 77 名作集(一)
  • 中央公論社
  • 1970(昭和45)年7月5日