かくれんぼ
かくれんぼ

冒頭文

秀吉金冠(きんかん)を戴(いただ)きたりといえども五右衛門四天(よてん)を着けたりといえども猿(さる)か友市(ともいち)生れた時は同じ乳呑児(ちのみご)なり太閤(たいこう)たると大盗(たいとう)たると聾(つんぼ)が聞かば音(おん)は異(かわ)るまじきも変るは塵(ちり)の世の虫けらどもが栄枯窮達一度が末代とは阿房陀羅経(あほだらぎょう)もまたこれを説けりお噺(はなし)は山村俊雄(としお)と申すふとこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「かくれんぼ」春陽堂、1891(明治24)年7月

底本

  • 日本の文学 77 名作集(一)
  • 中央公論社
  • 1970(昭和45)年7月5日